銀行融資後に絶対避けるべき5つの行動:社長が陥りがちな落とし穴

銀行融資後に絶対避けるべき5つの行動:社長が陥りがちな落とし穴

銀行融資は事業拡大や資金繰りのために利用されますが、その後の対応を誤ると、企業の信用を失い、次回の融資が難しくなることがあります。

今回は、元銀行員として2,000社以上の企業審査に携わった経験をもとに、融資後に絶対避けるべき行動について詳しく解説します。

融資資金の使い道を曖昧にする

銀行融資を受ける際、資金の使い道を明確に示すことが求められます。

たとえば、「新規設備の導入に使う」「広告費に充てる」といった具体的な目的を持って借り入れるのが一般的です。

しかし、融資後にその使い道が曖昧になったり、別の用途に流用したりすると、銀行は不信感を抱きます。

特に設備投資や運転資金として借りたお金を、全く別の用途、たとえば個人的な支出や趣味のために使用することは避けなければなりません。これは、資金の流れが不透明になり、返済能力に疑問が生じるためです。

個人的な使い込みをする

社長や役員が会社のお金を個人的に使い込むことは、銀行にとって非常にリスクの高い行動と見なされます。

特に「役員貸付金」という形で融資資金を自分に貸し付ける行為は、厳格に避けるべきです。

銀行は会社の財務状況を定期的にチェックしており、個人的な使い込みが発覚すると、融資条件が悪化したり、最悪の場合、追加の融資が拒否されることもあります。

私の銀行での経験からも、このような個人使用が疑われた場合、銀行は即座に対応し、信頼関係が損なわれるケースが多々ありました。

事業資金は事業のために使い、個人の生活費とは完全に分けることが不可欠です。

別会社や個人事業への資金流用

親会社から子会社、もしくは関連企業や個人事業に資金を流用する行為も、銀行が嫌う行動のひとつです。

資金の流れが複雑化し、どの事業にどれだけのお金が使われているのかが見えにくくなるため、返済能力の正確な評価が困難になります。

これにより、次回の融資審査が厳しくなる可能性が高まります。

また、銀行側も融資した企業の経営状況を把握するため、定期的な報告を受けますが、資金が別の事業に流用されると、財務の健全性が疑われます。

銀行との信頼関係を維持するためにも、資金の流れは常に透明であるべきです。

資産運用への流用

借りたお金を株式や不動産といった資産運用に使うことも避けるべきです。

企業が自己資金で運用するのは問題ありませんが、銀行からの融資をこうしたリスクの高い投資に充てることは、非常に危険です。

銀行は融資資金が確実に事業に使われ、利益を生むことで返済されることを期待していますが、運用に失敗すれば返済が困難になり、事業の存続自体が危ぶまれる可能性があります。

元銀行員として、資金の使途が不明確であったり、高リスクな運用に利用された事例を目にすることもありました。

その結果、多くの場合、追加融資が難しくなり、企業の経営は一層厳しい状況に陥ります。

繰り上げ返済を頻繁に行う

一見良いことに思える「繰り上げ返済」ですが、頻繁に行うことは銀行にとっては好ましくない場合があります。

銀行は貸出金からの利息収入で収益を上げていますが、繰り上げ返済をされると、予定していた利息収入が減少し、銀行の収益計画に影響を与えるからです。

繰り上げ返済自体は将来の利息負担を無くし、企業にとってキャッシュフローを改善する手段の一つですが、銀行との関係を考慮し、慎重に判断することが求められます。

特に、金融機関によっては、繰り上げ返済を嫌う傾向が強いため、一度銀行に相談してから実施する方が良いでしょう。

まとめ

銀行融資後の行動は、今後の資金調達や銀行との信頼関係に大きく影響します。

特に、個人的な使い込みや資金の流用、頻繁な繰り上げ返済は、企業の信用を損なうリスクが高いため、避けるべきです。

元銀行員の視点から見ても、融資を受けた資金は適切に管理・運用し、銀行に対して透明性を持って報告することが最も重要です。

企業として、融資後の資金管理を徹底することで、次回の融資をスムーズに進めるだけでなく、銀行との長期的な信頼関係を築くことができます。

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この記事を書いた人

代表コンサルタント・村松

銀行・本部審査部門にて2,000社以上の企業融資に携わってきたキャリアを持つ代表コンサルタント。銀行の融資営業・審査業務の両方の実務経験。豊富な知見を活かし「お客様の結果(銀行からの融資調達)にコミット」できます。経営者の方々の、事業繁栄につながる情報を発信します。