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事業融資の返済期間は、経営者にとって重要なテーマです。
特に、運送業や建設業、製造業、不動産業などの中小企業で、多額の設備投資や運転資金が必要な方にとっては、返済期間の設定次第で資金繰りが左右されることも少なくありません。
そこで本記事では、以下のポイントを分かりやすく解説します。
結論を先に知りたい方は下記をざっと押さえていただき、さらに詳しく知りたい場合は本文を読み進めていただければ幸いです。
なお、本記事は主に、銀行からの「プロパー融資」を調達することに焦点を当てて解説します。
信用保証協会付き融資や、日本政策金融公庫などの制度融資には該当しない点もございますのでご留意ください。
- 資金用途に応じた融資期間の目安
- 設備資金は耐用年数が参考になる
- 運転資金は実務的に「5年」が基本(例外で7年・10年も)
- 各種資金使途の“実務的な”融資期間目安表を掲載
- 返済が厳しくなったらどうするか
- リスケ中の新規融資は基本的に難しいが、業績回復後は再度融資が可能
- リスケ中の新規融資は基本的に難しいが、業績回復後は再度融資が可能
- 金融機関との交渉ポイントや、注意すべきことを徹底解説
元銀行員×融資審査の中枢にて2,000社以上の企業融資を担当してきたプロが、融資調達のサポートします。
特に1,000万円〜数億円規模の高額融資調達に強みを持ち、豊富な経験と知識を活かして、銀行との交渉や資料作成をサポート。
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事業融資の返済期間はどうやって決める?
01 | 返済期間が経営を左右する理由
事業融資を利用するうえで、返済期間の設定は経営に大きな影響を与えます。
たとえば、返済期間を短めに設定すると元金返済が早く進むため、利息負担は抑えられます。
しかし、月々の返済額が多くなるため資金繰りの余裕が少なくなりがちです。
逆に返済期間を長く設定すると、毎月の返済額は小さくなる一方、総支払利息が膨らむリスクがあります。
したがって、自社のキャッシュフローや設備の耐用年数などを踏まえ、無理のない返済期間を設定する必要があるのです。
02 | 金融機関が気にするポイント
金融機関は、融資の可否や返済期間を決定する際、以下の点を総合的に判断します。
- 資金用途との整合性:運転資金か設備資金か
- 返済原資の安定性:月次の利益やキャッシュフローが安定しているか
- 財務体質・自己資金の有無:自己資本比率や他借入とのバランス
- 事業計画の妥当性:将来的な売上や利益の見通し
特に多額の設備投資を伴う場合は、「返済中に設備が寿命を迎えるリスク」が懸念されるため、耐用年数をベースに期間を設定するのが一般的です。
また、運転資金として長期借り入れを検討する際は、実務的には5年が基本であり、7年や10年などの長期融資はあくまで例外と考えておきましょう。なお、当社のような融資調達のサポートを受けることで、7年以上の長期融資を果たせる可能性はあがります。
事業融資の返済期間の正しい決め方
01 | 設備資金は「耐用年数」がひとつの基準
運送業や建設業などで使用するトラックや重機、製造業の工場設備などは、それぞれ法定耐用年数が定められています。
基本的には、この耐用年数に合わせて返済期間を決めるのがベースの考え方です。
なぜなら、設備が稼働している間に、返済を終えられるのが理想的だからです。
- 耐用年数を超えて返済期間を設定すると、設備の稼働が終わっても返済が残るリスク
- 耐用年数より短めに設定しておくと、月々の返済額が増え、資金繰りが圧迫するが、総支払利息を抑えられる
設備の使用状況や業界の慣習、金融機関の判断によって、実際の返済期間は前後します。
しかし、大まかな目安としては、「耐用年数内で返済を完了する」ことを念頭に置いておくとよいでしょう。
なお、借入をする立場(皆様)にとっては、資金繰りの安定が経営の重大テーマですので、基本的には長めに(=耐用年数以上の年数)借入を行うように金融機関に交渉すると良いでしょう。
- 国税庁:減価償却のあらまし
- 国税庁:主な減価償却資産の耐用年数表
02 | 運転資金は「長期5年」が基本、例外で7年・10年も
一方、運転資金に関しては「耐用年数」という概念が存在しません。
仕入れ代金や在庫確保、人件費、販管費など、日々の経営に必要な資金をまかなうものなので、金融機関としては「短期での返済が原則」という考え方を持っています。
ただし、売上回収や仕入れ条件の問題などで、運転資金でも長期返済を希望するケースがあるでしょう。
実務的には5年がスタンダードであり、7年や10年といった長期の運転資金融資は「特例的なケース」と理解しておくとよいでしょう。
業種や財務状況、商流の安定度によっては3年程度に設定されることも珍しくありません。
- 運転資金の長期化 = リスク増とみなされる場合が多い
- 金融機関としても基本は短期資金との考えなので、長期の貸出は慎重になる
- ただし、強固な事業計画や返済原資があると判断されれば、7年・10年の借入が認められることも(当社に相談ください)
運転資金についてまとめた解説記事はこちら ー 融資の運転資金とは?必要な資金の計算方法と調達手段を徹底解説
03 | 資金使途別「実務的な」融資期間の目安表
以下に、代表的な資金使途に対する融資期間の目安を簡単にまとめました。
あくまで一般的な目安であり、金融機関や企業規模、担保の有無などによって変動します。
資金使途 | 融資期間の目安 | 補足 |
---|---|---|
トラック購入資金 | 3〜5年 | 車両の耐用年数や稼働状況による |
工場設備導入資金 | 5〜15年 | 設備の耐用年数が基準 |
工場建設資金 | 15〜20年(場合によっては30年) | 建物の耐用年数と担保評価で決定 |
倉庫建設資金 | 10〜20年(場合によっては30年) | 用途や構造によって耐用年数が異なる |
賃貸用マンション建設資金 | 15〜35年 | 不動産担保評価が大きな要素 |
賃貸用アパート新築資金 | 15〜30年 | 建築構造(木造やRC造)や規模により変動 |
車両購入資金(営業車など) | 4〜6年 | 普通車6年・軽自動車4年 |
運転資金 | 3〜5年が基本(7〜10年は例外) | 基本は短期資金での取り組み |
この表はあくまで一例ですが、金融機関との交渉の際に「どれくらいの期間が一般的なのか」を把握するうえでの参考になります。
04 | 将来計画を踏まえた返済期間の設定
返済期間を決めるときは、現在のキャッシュフローだけでなく、将来の事業計画や投資計画も加味する必要があります。
以下のようなポイントを踏まえ、金融機関との協議を行いましょう。
- 新規事業・支店展開の予定
- 大口取引先との契約変更リスク
- 市場環境・原材料価格の変動リスク
- 将来的な追加設備の導入予定
短期融資と長期融資をうまく組み合わせて、毎月の返済負担を調整することで、キャッシュフローに無理が生じない計画を立案できます。
金融機関も、しっかりとした根拠や計画が提示されれば、柔軟な返済期間設定に前向きになることが多いです。
事業融資の返済ができなくなったらどうする?
01 | 最初の一手は金融機関への早めの相談
事業を取り巻く環境は常に変化します。
予期せぬ売上減や原価上昇、取引先の倒産など、返済が厳しくなるリスクはどの業種にもあり得ます。
そのときに大切なのは、「隠さずに早期に金融機関へ相談する」ことです。
返済が遅れたり、遅延金が発生したりする前に事情を説明し、対策を一緒に検討する姿勢が重要です。
02 | リスケジュール(返済条件の変更)の基本と注意点
金融機関に返済条件の変更(リスケ)を申し出ると、元金の返済を一定期間ストップしたり、返済期間の延長を図ったりする措置が講じられる場合があります。
これを「リスケ(リスケジュール)」と言います。
リスケの際には、通常、以下の書類や情報を求められます。
- リスケ依頼書(返済条件変更を求める背景と理由を記載→形式は問わない)
- 今後の事業計画書・損益予測
- 資金繰り表(数ヶ月〜1年先までの収支見込みを具体的に示す)
ただし、リスケ中は基本的に新規融資を受けることが難しくなるのが実情です。
金融機関としては「返済の延長をしている=財務状況が厳しい」と判断するため、新たな融資リスクは取りにくくなります。
一方で、リスケ後に業績改善し、通常の返済が再開できた段階になれば、その後は「通常の企業と同じように」融資を検討してもらえる余地が生まれます。
つまり、リスケはあくまで事業を継続させるための一時的な措置であり、経営を建て直すための時間を稼ぐ手段と考えましょう。
03 | 早期発見と改善策が重要
返済が厳しくなる前に、早期に“赤信号”を発見できれば、追加融資やリスケに頼るリスクを最小限に抑えられます。そのためにも、
- 定期的な資金繰り表の作成
- 売掛金・買掛金の管理徹底
- 在庫リスクの低減策
- 経費構造の見直し
などの対策を日常的に行っておくとよいでしょう。
もし自社だけでの対応が難しい場合は、当社のような融資や事業再生に詳しい専門家(中小企業診断士、コンサルタント、税理士など)と連携し、金融機関とスムーズに交渉できる準備を整えることが大切です。
よくある質問(FAQ)
ここでは、事業融資の返済期間やリスケジュールなどに関して、経営者の方からよく寄せられる質問と回答をまとめました。
Q1.運転資金で5年以上の返済期間を認めてもらうには、どうすればいいですか?
A. 運転資金で5年以上の長期返済を希望する場合は、キャッシュフローの安定性を示すことが大切です。
具体的には、
- 売上高や利益率の安定した推移を証明する決算書・月次試算表
- 回収リスクの低い取引先構成や、長期契約の存在
- 将来の受注計画や設備投資計画の整合性
を、金融機関にわかりやすく提示する必要があります。
業界慣行や財務体質、担保状況によっても判断は変わるため、まずは「5年が基本」だと理解したうえで、条件を詰めていく形になるでしょう。
Q2. リスケジュール中でも新たな借り換え(借り換え融資)はできるのでしょうか?
A. リスケジュール中の新規融資や借り換えは、原則として非常に難しいと考えておいてください。
銀行は「すでに返済条件を変更せざるを得ない状態=財務状況が厳しい」と捉えるため、新たなリスクを負うことを躊躇します。
例外として、リスケ中でも事業再生計画が具体的に進んでおり、金融機関同士で協調している場合などは可能性がゼロとは言えませんが、基本は厳しいのが現実です。
リスケはしていないが、赤字な会社は多いでしょう。
赤字決算でも、内容次第、アピール次第で新規融資の可能性は十分あります。
こちらの解説記事(赤字決算でも資金調達は可能?赤字でも資金調達する方法!)を参照ください。
Q3. 途中で繰り上げ返済をしたい場合、手数料などは発生しますか?
A. 多くの金融機関では、繰上返済に伴う手数料(違約金)が設定されています。
金利タイプ(固定・変動)や残りの返済期間によっても金額が変わるため、繰り上げ返済を検討する場合は、事前に金融機関に確認を。
利息負担の圧縮効果と手数料を比較して、どちらが有利かを見極めることが大切です。。
【まとめ】事業融資は資金用途に応じて返済期間を決める必要がある!
最後に、大切なポイントを再確認しましょう。
- 資金用途にあわせた期間設定
- 設備資金:耐用年数を基準に
- 運転資金:5年が基本、7〜10年は特例的
- 返済計画はキャッシュフロー重視
- 短すぎると資金繰りが苦しくなる
- 長すぎると利息負担が増大。しかし、経営において最も重視すべきことは「資金繰りの安定」。できる限り長めの返済期間が望ましいと考えます。
- リスケ中の新規融資は基本的に難しい
- ただし、業績改善後は再融資の可能性あり
- ただし、「リスケ前の赤字決算」は融資調達の可能性あり
- 金融機関とのコミュニケーションが重要
- 早めの相談と情報開示で円滑な調整が可能
- 専門家の活用も検討
- 自社だけでは難しい銀行交渉や計画策定をサポートしてもらえる
運送業、建設業、製造業、不動産業などの中小企業経営者の方は、ぜひこのポイントを押さえたうえで、金融機関とのやりとりをスムーズに進めてみてください。
もし「自社の返済期間設定が正しいのか不安」「金融機関の担当者と話がかみ合わない」といった悩みがあれば、ぜひ当社へご相談ください。
【あとがき:当社のサポートについて】
当社では、主に年商3億円以上の中小企業向けに、大口融資調達サポートを行っています。具体的には、
- 事業計画書や資金繰り表の作成支援
- 各金融機関の特性や担当者の目線を踏まえた交渉サポート
- リスケ後の経営改善や追加融資の検討
など、経営者の皆さまが安心して事業運営に専念できるよう、専門知識を活かしてバックアップいたします。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら
- メール:muramatsu@honmaru.jp
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