融資の借り換え(肩代わり)とは?メインバンク変更のリスクや銀行の本音を踏まえた専門家視点の解説

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事業を行ううえで、銀行からの融資は欠かせない資金源です。

しかし、時には金利面や対応面で不満が募り、「他の銀行の融資に借り換えたい(肩代わりしたい)」と考える経営者の方も少なくありません。

銀行実務では、この「他行が既存融資を引き受ける」行為を「融資肩代わり」と呼びます。

肩代わりをした銀行は営業成績を上げ、社内評価も高まりますが、肩代わり“される”側の銀行にとっては屈辱的で、今後の取引関係が冷え込む要因にもなります。

本記事では、融資肩代わり(借り換え)の実務やメリット・デメリット、メインバンク変更を伴うリスクと注意点を、銀行実務の裏事情を踏まえながら詳しく解説します。

特に運送業、倉庫業、建設業、製造業、卸売業、不動産業などで設備投資ニーズの大きい中小企業や、年商3億円以上規模の経営者の皆さまにとって、融資肩代わりの可否は企業の命運を左右しうる重要な経営判断です。

ぜひ参考にしてください。

早速!この記事の要約・ポイント
  1. 融資の借り換え(肩代わり)とは?
    他の銀行の融資で既存借入を完済する行為を指し、銀行内部では「肩代わり」と呼ばれます。
  2. なぜメインバンクに不満を抱えるのか?
    高金利や追加担保要求、担当者の態度などから、企業はメインバンク変更を検討します。
  3. 肩代わりのメリット・デメリット
    金利負担の軽減や資金繰り改善などの利点がある一方、既存銀行との関係悪化や違約金が課題に。
  4. 専門家のサポートが必須
    銀行の社内事情や稟議プロセスを理解し、複数の金融機関を横断的に交渉するためには、融資のプロの協力が不可欠。
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「融資借り換え(=肩代わり)」とは?銀行内部での呼称と意味

「融資借り換え(=肩代わり)」とは?銀行内部での呼称と意味

融資肩代わりとは、A銀行が保有していた融資残高を、B銀行の新規融資によって完済することを指します。

一般的な経営者の方は「融資の借り換え」と呼ぶことが多いですが、銀行の現場では「肩代わり」「融資を奪う(奪われる)」などの直接的な表現を使うことも珍しくありません。

  • 肩代わりを提案する側(B銀行):
    新規の融資案件を獲得し、営業成績を大きく伸ばせる。
    支店長や担当者は「融資残高を増やす」というミッションを達成しやすくなるため、積極的に動く。
  • 肩代わりされる側(A銀行):
    貸出残高が減少し、支店長や担当者の評価が下がる。
    社内的には「管理不足」「取引先との信頼関係を壊された」と見なされ、上司から叱責を受けるケースも。

このように、肩代わりは銀行同士のメンツが大きく絡む行為であるため、メインバンクとの関係が悪化しやすいリスクがあります。

なぜ融資借り換え(肩代わり)が行われるのか?— メインバンクへの不満と怒り

なぜ融資借り換え(肩代わり)が行われるのか?— メインバンクへの不満と怒り

企業が「融資肩代わり」を検討する主な理由の一つに、メインバンクへの不満・怒り・不信があります。

よく見られる例としては、以下のようなものがあります。

  • 融資申込や相談を放置され、スピード感がない
  • 高い金利設定を長期間続けられ、不満が募っている
  • 上から目線で物を言われ、担当者の態度が気に入らない
  • 追加担保や連帯保証人を強く求められた
  • 新規融資に一向に動いてくれない

こうした不満を抱えているタイミングで、別の銀行担当者(サブバンクなど)が「条件の良い融資プラン」を提案してくると、経営者は一気に心が動きます。

また、「後継者に経営が交代した」タイミングでも、既存行との歴史や情を捨て去り、新しいメインバンクを求めるケースが少なくありません。

融資借り換え(肩代わり)のメリット・デメリット

融資借り換え(肩代わり)のメリット・デメリット

メリット

  1. 金利負担の軽減
    高金利の融資を低金利融資に切り替えることで、毎月の返済額(特に利息部分)を大幅に削減できる可能性があります。
  2. 条件の柔軟化
    新しい銀行は「融資獲得」のために元本据置期間を設ける、返済期間を長くするなど、有利な条件を提示する場合があります。
  3. 資金繰りの安定化
    追加の融資枠を確保し、事業運転資金や設備投資資金に充当できるケースもあり、キャッシュフローに余裕が生まれることがあります。

デメリット

  1. メインバンクとの関係悪化
    既存の銀行からすれば「取引先を奪われた」格好になるため、経営が悪化した際や追加融資が必要な際、協力が得られにくくなる懸念があります。
  2. 中途返済に伴う違約金・手数料
    貸出条件によっては、繰上げ返済手数料や違約金が発生します。
    契約書をよく確認せずに肩代わりを進めると、予想外のコストに直面することもあるでしょう。
  3. 「条件の良い提案」がいつまでも続く保証はない
    肩代わりに積極的な新銀行の担当者や支店長は、いずれ転勤・異動する可能性があります。
    長期的にみて、本当に支援してもらえるかどうかは未知数です。

メインバンク変更を伴う融資借り換え(肩代わり)リスク

メインバンク変更を伴う融資借り換え(肩代わり)リスク

融資肩代わりのうち、特に「メインバンクの変更」を伴うケースは、企業にとって大きな転換点になります。

メインバンクを変えるほどの決断に至る背景には、並々ならぬ経営者の覚悟や怒りがあるものの、その一方でリスクも無視できません。

  • 銀行内部で「不義理な企業」と見られる可能性
    肩代わりされた側の銀行は「自分たちとの信頼関係を壊された」と感じます。
    今後、万が一経営状況が悪化し、資金繰りに困ったとき「もううちでは支援できません。B銀行さんにお願いしてください」と突き放されるケースもありえます。
  • 経営者交代後の判断は想定外の悪影響を及ぼすことも
    後継者がメインバンク変更を断行した場合、先代との歴史や絆が一気に薄まり、既存行からすると「裏切り行為」と映ってしまうこともあります。
  • 企業の成長戦略にも影響
    大規模な設備投資や新規事業を検討している場合、複数の金融機関からの協調融資が必要になることがあります。
    その際、メインバンクとの関係が悪くなっていると、全体の資金調達計画が崩れる恐れがあります。

融資借り換え(肩代わり)を検討する際の実務手順と注意点

融資借り換え(肩代わり)を検討する際の実務手順と注意点

では、融資肩代わりを実行する際、具体的にどのようなステップを踏めばよいのでしょうか。

注意点もあわせて解説します。

  1. 秘密裡に引受銀行と交渉する
    メインバンクへの事前相談は、肩代わりを警戒され、条件変更を阻止される恐れがあるため、通常は行いません。
    新しい銀行(サブバンク等)の担当者と綿密に打ち合わせし、「融資稟議が本当に通るか」を確認しましょう。
  2. 融資契約の中途返済条項を確認する
    既存の融資契約書に「中途返済違約金」「手数料」などの定めがあるかを必ずチェックします。
    新銀行に上乗せ融資を打診し、違約金相当分を含めて支援してもらう場合もあります。
  3. 融資実行→即返済→担保抹消
    新銀行の融資が実行され、メインバンクの融資を一括返済した時点で、担保抹消や保証人の扱いが大きく変わります。
    新銀行が不動産担保を取り、旧銀行が担保権を外すという流れです。
  4. メイン口座の移行・取引先への周知
    メインバンクを変更するなら、売上入金や仕入先支払いの口座も切り替えていきます。
    取引先への通知やシステム変更は、情報漏洩防止のため肩代わり完了後に行うのが一般的です。
  5. 今後の関係維持・リスク管理
    肩代わりを実行した後は、旧メインバンクとの関係が気まずくなるのは必至です。
    一方で、新銀行も今は好条件を提示していても、支店長や担当者が替われば状況が変わることも覚悟しておかなければなりません。

日本政策金融公庫を使った借り換えが抱える問題点

日本政策金融公庫を使った借り換えが抱える問題点

日本政策金融公庫(公庫)の低金利融資を使って民間銀行の融資を返済することを「肩代わり目的」として利用するのは、原則として認められていません。

公庫融資は「事業資金」「運転資金」としての利用を前提としており、明示的に「既存借入の肩代わりを目的とした資金使途」はNGとされます。

しかし、実務上は「運転資金」と称して融資を受け、すぐに民間銀行の借入を返済する企業もあるようです。ただし、

  • 口座の資金移動や決算書を確認されれば、すぐに“バレる”
  • 民間銀行から公庫へクレームが入る可能性があり、後々両者からの信頼を失う

といったリスクが高い行為です。

よほど緊急かつ合理性が高い理由がない限り、公庫を使った肩代わりは避けたほうが無難です。

参考記事:スタンダード市場へ上場している株式会社エフアンドエム様の記事
→日本政策金融公庫の融資の借り換えのポイントやメリット、審査通過の準備を解説

メインバンクを変更するときに失われるもの

メインバンクを変更するときに失われるもの

肩代わりによってメインバンクが変わると、長年築いてきた銀行との取引の歴史がリセットされます。

  • 良いときも悪いときも資金繰りを支えてくれた実績
  • 定期的に訪問してもらい、業績動向を熟知してもらっていた安心感

これらは新しいメインバンクと一朝一夕で築けるものではありません。

たとえ目先の金利や条件が良くなっても、数年後に経営環境が悪化した際、「果たして新たなメインバンクはどこまで助けてくれるのか」は不透明です。

肩代わりに踏み切る場合には、これらのリスクをすべて加味したうえで判断しましょう。

【まとめ】融資の借り換えを検討する場合は慎重に!大口融資調達サポートへご相談ください!

融資の借り換え=「融資肩代わり」は、企業にとって金利負担の軽減や月々の返済負担の低下といったメリットをもたらす一方、メインバンクとの関係悪化や将来的な金融支援を失うリスクなど、決して軽視できない問題も併せ持ちます。

特に年商3億円以上の中小企業においては、設備投資や大型の運転資金が必要となる場面も多いため、銀行との関係性は経営の生命線といっても過言ではありません。

また、銀行内では「肩代わり」に対するプライドや感情が強く働きます。

担当者レベルだけでなく、その上司・支店全体に波紋を広げる場合もあるため、計画性のない肩代わりは企業自身が経営リスクを背負う結果になりかねません。

そこで役立つのが、「大口融資調達サポート」のような融資に精通した専門家の力です。

  • 銀行との交渉ノウハウを熟知しており、メインバンク・サブバンクそれぞれの言い分や融資稟議の裏側まで把握している。
  • 複数の金融機関とのネットワークがあるため、有利な条件を引き出せる可能性が高まる。
  • 借り換え・肩代わりだけでなく、長期的な資金調達戦略の策定をサポートできる。

融資肩代わりを実行するか否かは、極めて重要な経営判断です。

一時の金利差や担当者との相性だけで動くと、後で取り返しのつかない不和を招く恐れがあります。

だからこそ、プロの視点でメリット・デメリットを分析し、長期的な企業経営にプラスとなる選択を行うことが大切です。

もし、メインバンク変更や融資借り換えを含めた大口融資のご相談をお考えなら、ぜひ一度、当社「大口融資調達サポート」までお問い合わせください。

  • 怒りや不満を原動力にするだけではなく、冷静にコスト・リスクを比較検討し、最適解を見出すお手伝いをいたします。
  • 中小企業の経営状況や業種特性、銀行ごとの文化や思惑を踏まえながら、最適なアプローチでサポートいたします。

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この記事を書いた人

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代表コンサルタント・村松

銀行・本部審査部門にて2,000社以上の企業融資に携わってきたキャリアを持つ代表コンサルタント。銀行の融資営業・審査業務の両方の実務経験。豊富な知見を活かし「お客様の結果(銀行からの融資調達)にコミット」できます。経営者の方々の、事業繁栄につながる情報を発信します。